17日、前橋文化会館ホールでのコンサート翌日は、
午前中から午後1時まで、カワイピアノ前橋で、
ビルギット・コーラーさんによる公開プライベートレッスンでした。
(公開レッスンなのですが、主催者の関係で、画像は掲載できません)
午後1時からは、そのレッスンルームを使わせてもらって、
Hichiriki Proの試奏です。
※Hichiriki ProやHichiriki Plusは、「篳篥・朱」の
演奏家向け製品で、基本的に「篳篥・朱」と変わりません。
Hichiriki Proは、Hichiriki plusの選別品で、
近くオーディオ用(製品名は未定)を発売予定です。

昨日はコンサートホールでの試奏でしたので、
ホールの響きと合わせた試奏でしたが、
今日はホールの響きが乗らない、レッスンルームを使って、
バイオリンのダイレクトな音を聴きます。

まずはホホバオイルの充填など、
メンテナンスを施したHichiriki Plusに戻して、
Hichiriki Proとの違いを再確認する予定でした。

昨日のホールで、Proに付け替えての私の印象は、
音が太く芯があり、かなり共鳴のある音で、
こちらの心に凄いスピードで音が飛んできました。
私は驚き感動していたのですが、
彼女は、大きな変化に驚いて、
コントロールに四苦八苦していたそうです。
「それでも(四苦八苦したのは)最初の30分くらいかな」とのこと。
どうしようかと思っていたら、
彼女は直感的に「やっぱり(Hichiriki Plusに)替えたくない」
「ProをPlusに戻すことはない」と言い切ったので、
Proの「微調節」に入ります。

弓は、Proの有り無しを試奏しましたが、
圧倒的に「有り」が良く、付ける場所は、
ここしかありません。

ここからは、バイオリンのどこにProを付けるか。
基本的には、バイオリンの底(冒頭の写真)になるのですが、
そこから微調整を繰り返します。
バイオリン工房には、ボディのニスに影響が無い
テープがあり、Proはそれで留められていて、
そのテープを付け替えながら微調整します。

私見ですが、演奏者が素晴らしければ素晴らしいほど、
Hichirikiを付ける場所による音色の違いが
はっきり変わります。
さらに、付ける場所が同じでも
弾き方でニュアンスが全く変わります。
恐ろしいほど楽器調整の可能性を体感せてもらいました。

「こっちがいいよね?」と訴えてきます。
彼女も私もProの効果を十分確認しました。
試奏が終わると彼女の厳しい表情も柔和になり、
明るい女性に変わります。

3時間、集中力の連続で私は限界を超えたのか、
帰りの新幹線は彼女と話していてもボーッとしてました。
彼女とは東京駅でお別れ、
彼女は次のコンサートのため、
そのまま名古屋に向かいました。
連日のコンサートとリハーサルの連続で、
彼女に休みはありません。
高崎から東京はあっという間です。
東京駅は、東北新幹線と東海道新幹線の
乗り継ぎがよく便利です。

彼女の帰国から7日後、
彼女からとんでもない話がありました、
「今、グラナダでイシュトヴァーン・ヴァールダイ
(Istvan Vardai)と演奏している、
彼にProを貸してあげたら『確かに素晴らしく音が変わる!』
『(驚いた様子で)ぜひ使いたい』と言ってる
彼に送ることは出来る?」と言うので、
「もちろん」と答えた。

彼の使っているチェロは、
1673 年製「Du Pré-Harrell Stradivarius」
ジャックリーヌ・デュプレが使い、
その後リン・ハレルが使い、数人を経て、
今は、イシュトヴァーン・ヴァールダイ氏が弾いている。

私は今でもデュプレの演奏を
どうしようも無いほど愛している、
CDでは、その同じ楽器で、ヴァールダイの
エルガーを聴くことができる。
デュプレの音がしたと思うと離れていき、
ヴァールダイの音色に変わっていく、その対比が嬉しい。

本当にデュプレが使ったチェロ、
その楽器に篳篥が付けれられて、
さらに素晴らしい音色になっているという。
なんと言う幸せなことだろう、胸がいっぱいになった。

篳篥は急速に世界に拡散している。