※写真左から、海外の演奏家と多く関わっているデザイナーのタキオノ氏、
ビルギット・コーラー氏、Ge3安西、世界的クラリネット奏者の後閑由治

9月17日、前橋文学館ホールコンサート後の打上では、
演奏者を中心にが20人くらいが集まりました。
何となく世代別でテーブルが囲まれていて、
20代のテーブルを覗くと、情報交換で
盛り上がっていました。

この夜私は、ビルギット・コーラーさんと、
食事をとりながらじっくり話が出来ました。
彼女は雄弁でしたが、特に面白かったのは、
「高い次元で作曲している作曲者は誰だと思う?」
と私が聞くと「バッハが圧倒的に次元が高い、
四次元より、五次元より、もっと上!」とのこと。
そんなに上?と聞くと「(バッハの曲を演奏すると)
神様をすごく近くに感じられるから」
「演奏していると次元という感覚がなくなる」。
私もコンサートに行ったとき、時々演奏者と繋がって
心で聴いている瞬間にそれを感じることがあります。
数時間前、彼女のクライスラーバイオリンソナタを
聴いていいる時に、それが訪れました。
篳篥の新製品に集中していたのですが、
ソナタの2曲目、急に音が私の胸にズドーンと届いて、
音楽というか、音というか、それらのエネルギーと言うか
何かが体の中に入ってくる感じがあるんです。
それは、この夜集まった他の演奏者も同じことを言っていました。
彼女にその事を話すと、
「ライブでは時々あることだよ」
「それはそこまで届け、という思いで演奏しているから」

メゾソプラノのリナート・シャハムさんも
同じことを言っていました。
「あの席まで私の声が届け!」と念じながら歌うそうです。

ビルギット・コーラーさんは、「篳篥・朱」について
「(篳篥によって)エネルギーが上がる」
「特に新しい篳篥は、(自分の演奏する)
エネルギーの範囲がかなり広がる」と言っていました。
隣でその話を聞いていたクラリネット奏者の後閑由治氏が、
「僕も1%でも(演奏が)良くなるなら何でもするよ」
と言った言葉が印象的でした。

さらに彼女に「バッハの次に次元の高い作曲家は?」と聞くと、
「モーツアルト!」
「ただ、バッハだけが特別だけど…」
「バッハが神様自身だとするとモーツアルトは天使かな」
ん〜納得です。
「ブルーノ・ワルターは、モーツアルトだけは
演奏前にモーツアルトに『今日はどんな演奏にしようか』
と毎回相談している」と書いていたよと、私が言うと、
「わかる!」と納得していました。

「コンサートホールは、演奏によって、
3次元から4次元の空間に変わるんだけど」
「ホール用の篳篥は無いのか』と後閑由治氏に聞かれて、
私は「あるにはある」と答えました。