佐藤豊彦さんに、リサイタルの後に「音楽家向け篳篥」の試演奏をお願いしました。
佐藤豊彦さんは、ひとしきりの関係者とのご挨拶を終え「それは楽しみだな」とリュートを取り出し「本当はどうやって使うものなの?」と2時間以上のリサイタルでお疲れにもかかわらず、新しい篳篥に目を輝かせていました。
「演奏家向けの篳篥」とは、篳篥に使っている各種素材を、一つ一つ選別して製作されたものです。

佐藤豊彦さん曰く「篳篥を付けて演奏しながらの(リュートの)音よりも、録音した後の方がいいんだよ」「プレイバックを聴いてびっくりしたよ」とのこと。

まずは、ボディー表板に付けました。
佐藤豊彦さん「篳篥・朱」に比べてレゾナンスがすごく大きい」
「これだったらプレイバックで聴かなくても(効果が)わかるね」
「バイオリニストはどに付けてるの?」
Ge3安西「ボディ側板のあごあて近くに皮膚用ばんそうこうで付けています」
「みなさん、ネックに付けたり、表板、側板、テールピースと一通り試した後、効果的で演奏会で誰にも見えないボディ側板のあごあて近くに付けています」


ボディ表板の次に裏板、ネックと試した後
佐藤「ブリッジに付けたらどうだろう」と何かひらめいたように言いました。

佐藤「ここはレゾナンスが最高だね!」
「音量もかなり上がる」
私もその音に驚きました。
これまでとは全く違って、弾かれた音がリサイタル会場の天井に向かってすーっと立ち登って行く。
思わず「天使が手伝ってくれているんですかね?」と私が言うと、佐藤「そうかもわかんない」と。

演奏家は世界中、同じことを思うんだなあ。
皆、天使とつながって繋がっているんだなあ。
音に思いを込めると天使が音を運んでくれるんだなあ。
私たち音楽愛好家は、それを感じることができるんだなあ。

高橋「今日はお弟子さんのリュートを借りてやったんだけど、(自宅に)帰ったらオリジナル(400年前のリュート)に付けてみるよ」
「一度弦を外して、弦とブリッジの間に挟むようにすると良いんじゃないかな」
演奏家と篳篥が、どんどん近づいて音楽と結ばれていく様を目のあたりにしました。(つづく)