2023年12月24日、ベートーヴェン第9コンサート後のサントリーホール楽屋です。
メゾソプラノのシャハムさん(写真左から3人目)は、篳篥・朱を使い始めて1ヶ月、細かな使いこなしができたきたとのことです。プロの音楽家は、言わばF1ドライバー、繊細すぎる篳篥の使いこなしのリクエストに我々は手探りで対応しいます。

コンサートで篳篥を使うのは、例えば衣装を着るという制限があるので付ける場所を探すにも、当日、衣装を着てからになります。理想的には、首の後ろ側に2個なのですが、

色々と試した結果、喉に直にテープでとめてネックレスで隠れるように付ける。さらに下着(ブラ)にテプでとめる2箇所が良いと言うことになりました。

リハでも良い感じです。指揮者のアラン・ギルバート氏から「あなたの声は大きく良く通る」と言われていました。シャハムさんはニンマリ。
シャハムさんは、第9のメゾソプラノのパートは、全体として音程が低めなので、声が出しづらく難のだそうで、しかもソプラノの音程が高くかなり張り上げるので、低い音程のメゾは声量を出しづらくハーモニーが取りずらいそう。さらにテノールとも同じ状況が生まれます。
ところが本番、私はアリーナのセンターで聴いていましたが、シャハムさんのメゾの声がソプラノの声の壁を突き向けてこちらに飛んできます、テノールとのハーモニーでも同じ様にテノールの声の中からシャハムさんの声が突き抜けてこちらに届くので、ソプラノにもテノールにもかき消されることなく見事なハーモニーに聴こえます。

コンサートの前と後、楽屋でコメントをもらいました。

演奏前の動画の翻訳です。
私はメゾソプラノのリナシャハンです。今夜私はサントリーホールで3人のソリストと共に東京都交響楽団、アランギルバート指揮の元でベートーヴェンの第九交響曲を演奏致します。

今夜私は初めて(コンサートで)ヒチリキを身につけて歌います。
ヒチリキは私の喉のあたりに貼り付けてありますが、コンサート用ジュエリーの下に隠れています。その他にもうひとつのヒチリキを胸の辺りに入れてあります。
ヒチリキにより私の声により豊かな響きが増し、高音の広がりが加わっています。

演奏後の動画の翻訳です。
さてコンサートが終わり戻りました。
演奏は大成功でした。
ベートーヴェンの第九のメゾソプラノのパートはソプラノに比べてかなり下の音域を歌います。殆どアルトの辺りまで下がっていきますので声の通りが難しくなりがちですが、ヒチリキの力で声がしっかりとまとまった形でホールの奥にまで送り届けられ、観客にも私自身にも良く聴こえて、そのエネルギーが上から与えられ、私に到達し、その私を通して更にまた観客にチャネリングするかの様に再びオーケストラの響きと共に届いて行きました。

このヒチリキと言う贈り物を授かり心よりお礼を申し上げます。

この後、シャハムさんは十八番のカルメン役を獲得、そのコンサートでも篳篥を付けて歌いました。

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