昨年9月、来日中のビルギット・コーラーさんに篳篥・朱」を紹介した。そのコーラーさんが、バルセロナの自宅で音楽家仲間の世界的メゾ・ソプラノ歌手リナット・シャハムさんに「篳篥・朱を紹介してくれた。
シャハムさんは、その場で篳篥を喉元にあてて歌い出した時、目を丸くして驚いたそうだ。その後も、首や胸元に当てたり外したり、何度も繰り返してその変化を確かめ「アメイジング」を繰り返したそう。
コーラーさんからその模様の動画を送ってくれた、プライベートなのでここではアップしませんが、篳篥をつけると声が通るのです。シャハムさんは「レゾナンスが変わる」「1オクターブ高い音が良い」と動画で話しています。彼女らプロの演奏家は、大きな変化から小さな変化まで、産毛の先まで感覚が行き届いていて、篳篥による効果をすぐに察知して、その効果をどんどん自分のものにして行きます。そしてコーラーさんは、篳篥を一つシャハムさんに手渡してくれました。

このところよく思うことですが、演奏家はまず自分で使って試してみる。
信頼する友人の紹介でも自分で試してから評価します。そして「篳篥は何で出来ている?」「篳篥の効果は?」と言ったところには興味がないのか、その種類の質問がありません。彼ら彼女らは「言葉にならない事が面白い」と言う世界に暮らしているからだと私は思っています。

そのシャハムさんが、2023年12月に、ベートーヴェン第九のソリストとして来日した。篳篥をコンサートで使用したいとの相談で、会食することになりました。
私としては、様々なことを協力したいと話がまとまり、コンサートでの篳篥の付け方など細々とした話になりました。そうこうしていると、このそう大きくないお店で篳篥を取り出して歌い出したのです。例によって喉にあてたり外したり。彼女の十八番のカルメンなどオペラのアリア一節や、最後に日本語で「さくら」も歌い、同席した3人(以下の写真)は間近で篳篥の効果を聴かせてもらいました。Ritaさんの時もそうでしたが、篳篥をあてると声が通るので、小さな声で歌ったつもりでも、プロの歌手、お店にいた方達には、驚かせてしまいました。

日本での3公演とリハーサルで篳篥を使い、動画レポートをもらいましたので、承認後アップします。


(写真左から、Ge3安西、リナット・シャハムさん、タキオノさん、グラミー賞を受賞したアート ディレクターバルタン氏、バルタン氏は米ユニバーサルの役員で第二の故郷の日本ということもあり、コンサートの協賛企業として来日、ソリストもさることながら、人気指揮者のアラン・ギルバート氏が振っているので、今後コンサートの模様を販売するかも知れませんね。)

リナット・シャハム氏は、国際的なオペラ、コンサート、リサイタルで数々の賞賛を受けているイスラエル出身のメゾソプラノ歌手です。

生い立ちとキャリア シャハムはイスラエルのハイファで生まれ、音楽一家に育ちました。美術学校に通い、演劇に興味を持つようになりました。シャハムはアメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアのカーティス音楽院で学士号と修士号を取得しました。

リナット・シャハムはニューヨーク・シティ・オペラ、ベルリン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、エクサンプロヴァンス音楽祭、グリンドボーン音楽祭、テアトル・デ・シャンゼリゼ、オペラ・オーストラリア、ロイヤル・オペラ・ハウスなどで主要な役を歌っています。

シャハムはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、シカゴ交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、サンフランシスコ交響楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニック、フィラデルフィア管弦楽団、イスラエル・フィルハーモニック管弦楽団、ボストン交響楽団、ミネソタ管弦楽団などのシンフォニーオーケストラのソリストとして演奏しています。また、小澤征爾、サイモン・ラトル、アンドレ・プレヴィン、クリストフ・エッシェンバッハ、レナード・スラトキン、ダニエル・バレンボイム、シモーヌ・ヤング、アントニオ・パパーノ、ウィリアム・クリスティ、ダビッド・ロバートソン、ダン・エッティンガー、クリスティアン・ティーレマン、大植英次など、現代を代表する指揮者たちと共演しています。

リナット・シャハムの多くの役には、ビゼーの『カルメン』のタイトルロール、その国際的に有名で何百回も演じている役が含まれており、また、メスネの『ヴェルテル』のシャルロット、モーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』のドルベラ、ドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』のメリザンド、モーツァルトの『フィガロの結婚』のシェルビーノ、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』のツェルリーナやドンナ・エルヴィーラ、ロッシーニの『セビリアの理髪師』のロジーナ、プーランクの『カルメル会の対話』のブランシュ、マスネの『シンデレラ』、ポッペアの戴冠のオッターヴィア、そしてブルーベアードの『ユディト(青ひげの城)』などがあります。

シャハムは、1995年、1996年、1997年に夏のコンサートで参加したウェスト音楽アカデミーの卒業生でもあります。

シャハムは、『カルメン』、『セビリアの理髪師』、『フィガロの結婚』などのオペラDVDが制作されています。また、ジャン=バティスト・リュリのオペラの抜粋をウィリアム・クリスティとデイヴィッド・グラモフンと共にEratoとDeutsche Grammophonで録音し、モーリス・ラヴェルの『子供と魔法』をアンドレ・プレヴィンと録音しています。シャハムのジョージ・ガーシュウィンとヘンリー・パーセルの歌曲のソロCD、”Fantasy in Blue with Fuoco E Cenere (“Fire and Ashes”)” はATMA Classiqueより出版され、同じグループが演奏する「Psalms of David」、ベネデット・マルチェロによるCDも発売されています。また、彼女は2001年のイシュトヴァーン・サーボー監督の映画『Taking Sides』で「ジャズシンガー」として映画デビューを果たしました。